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献血
- 2011/09/06(Tue) 22:38 -
昨日の小話は一昨日の晩に見た夢の話です。物語みたいなのを夢で見てさらに起きても覚えてることがけっこうあって、久々にそういうの見たので。
時系列めちゃくちゃで見るので忘れないためにもたまに時間あるときはまとめるんですけど、昨日のはまとめてたら普通に小話一本になったのでちょっと暇潰しにでもと思って。


ところで今日は献血してきました。一年ぶりです。渡航も通院もなんもない健康体なので毎回血液濃度さえクリアできれば問題ないんですけど、今回で三年目なのね私。最初は血が薄くてだめだったんだけど、去年は初めて成功してちょっとわくわくした。
採血とかは経験あるんだけど献血ってしたことなくて。
去年初めて献血できることになって、注射も血が流れていくチューブも、あとなんかそのチューブが大きいパックと繋がっててそのパックが機械でずっと回転してるの。たまっていく血を振ってるのかな?なんかそーいうのも珍しくてすげえーと思いながら凝視してたら「見なくていいんですよ、そんなに見なくてもいいんですよ」と係の人に不審がられた記憶が。
今年は女性に配慮したのか、足元を隠すタオルをよこされ、さらに注射器を刺されたあとは腕をタオルで覆われて見えなくされた。ちょっとつまらなかったです。私は前に採血したりしたときからなんとなく思っているのだが、もしかしたら注射好きなのかもしれん。注射というより血を抜かれるのが好きなのかもしれない。いや、というよりもパックや試験管に血が溜まっていく状態にわくわくするのかも。見てて楽しくて仕方ないです。珍しいからかな。今年は見れなくて残念でした。
つーか、問診受けてて思ったんだけど、私は献血にはすごく適していると思うんだよ。生まれてこの方病院に通ったこともないし(風邪で一回か二回は行った。あとバイクと車でこけたときに行ったことがあるだけ)もちろん常用してるような薬とかもないし、あと虫歯ないのでそこもひっかからないし、海外に出たこともないしピアス開けたのは十五年くらい前だし、乱交パーチーとかふしだらなこともしないし(当然なのだが問診で似たような項目があるんだよ)覚醒剤もやってないというか見たこともないからね!すごい健康体だよなーと自分で思った。
あと献血終わると記念品もらえるんだけど、今年はそれの他に記念品ボールペンとかももらった。ちなみに記念品は、わりと大きいカゴにティッシュボックスと食器洗剤と石鹸と箸置きとメモ帳が入ってるセットをもらってきた。(何種類か選べるようになっている)すごく豪華です。去年も似たようなのだった。200mlの血液にこんなに価値があるってことなのかなぁと思った。また次もするぜ!
ちなみに献血すると献血カードとスタンプカードがもらえる。献血でスタンプカードなのかよとちょっと笑える。十回くらいすれば貯まりそうです。貯めたらどうなるのか知りたいです。
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幼馴染との恋愛について3
- 2011/09/05(Mon) 20:56 -
大学の講義が終わって帰宅の電車から降りた頃、智が携帯に電話を寄こした。今日は雨が降っていた。
「茶智ちゃん」
「うん。今どこ?」
「今二丁目の配達終わったところ」
「雨降ってるね。濡れた?」
「うん」
「じゃあ私もうすぐ家につくから、そのままうちに来ていいよ」
「わかった」
智が配達で雨に濡れた日は、私がタオルを用意して待つことが日課になった。智は何を考えているのか、それをごく当たり前の日常であるかのように受け入れた。こんなに近づいていても私達はなんの関係の変化もなかった。だけどわざと変化させないようにしているのだと私は思っていた。



「茶智ちゃん、濡れた」
「あ、先にそっちのタオルで足拭いて。さっき智の部屋から着替え持ってきたからそのまま二階あがってきて」
「わかった」
戻ってくる途中で本降りになった雨のせいで、カッパを着ていたにも関わらず智は濡れネズミのような姿になっていた。しばらく美容院にも行っていないせいで伸び放題の髪がよけい肌に張り付いていた。
言われた通りに先に足だけ拭いてから私の部屋に上がってきた智に、着替えとタオルを渡した。そのタオルで頭を拭く智が、途中で何かを思い出したように顔を上げた。
「なに?」
「スイちゃん」
思いも寄らない名前が出てきて少し驚いた。
「臼井くん?」
「うん。あのさ、スイちゃんね、茶智ちゃんのこと本当に好きなんだよ」
「…はい?」
何を言われたのか知らないが、智がいつもと同じように平然とそんなことを言ってのけた。きょとんとした私の反応が理解できなかったのか、智は本気で応援しているかのような顔でもう一度同じことを言った。
「知ってたの?」
「中学のときに言ってたから。昨日また言われて、茶智ちゃんにも言ったって言ってたから」
「臼井くんのこと応援してあげるの?」
「応援ってよくわかんないけど…でもスイちゃんいいヤツだし茶智ちゃんもいいヤツだし」
「変なの。もう店行ったら」
「うん。もう行くね」
私が少し怒ったことを智は察しもせずに、また部屋を出ていった。律儀に玄関まで見送った私に、靴を履きながら智が振り返った。
「茶智ちゃん、俺の部屋の茶智ちゃんの携帯番号書いた紙、書き換えた?」
「何年前の話してるの」
「三年前だよ」
「知らない。私じゃないんじゃない」
「茶智ちゃんの字だよ。あと隣にカエルの絵が…」
「余計なことして悪かったわネ。もうしないから」
「余計じゃないよ。俺茶智ちゃんの字すきだし、もっと」
「早く行きなよ。おじさん待ってるよ」
「うん。わかった」
貸したままのタオルを頭にかぶりながら智は店の手伝いに戻った。


その一件は私の中でかなり大きな出来事だった。臼井くんの恋心は私自身小さなときから察していたので特別仲良くなることを良しとしてこなかったほどわかりやすいものだったのに、とうの智本人は一番仲良くしている男友達のそういった感情に一番身近に触れてきたくせに何も肝心なことをわかっていなかった。わかっていないどころか、自分の気持ちにどこまで鈍感なんだろうとあきれてしまった。毎日弁当を作る理由を聞けばよかった。雨の日に心配する理由や、自分の着替えを頼む理由をもっと早くにはっきり聞いておけばよかった。私は少し疲れてしまった気がした。



臼井くんの家へ初めて訪ねた。うなぎ屋の店じまいをし終わった時間だったので、臼井くんは白いエプロンをつけたままだったが、大丈夫と言って外に出てくれた。職人のような雰囲気だった。
「この間の件なんだけど、ごめんなさいって言いにきたの。長い間どうもありがとう」
「あぁ、なんだ」
臼井くんはそういって笑った。やっぱりくまみたいな人だと思った。
「こちらこそ言ってしまってごめんね。わかってたのについ」
この人でさえわかる事実を、どうしてこんなに遠回りしているのか疑問にすら思った。
「智んち、行こう」
「あ、私今日はちょっと」
「ご飯ねぇ、一緒に食べようよ」
結局有無を言わさず連れて行かれることになった。



「智!スイとさっちゃんだぞ!」
恒例のようにおじさんは厨房に向かって叫んだ。今日はおじさんがのれんをしまっていた。臼井くんはカウンター近くの席に座ったので、私もその席の向かいに腰を下ろした。おじさんが四人分の夕飯をテーブルに並べ始めたので、今日はみんなで夕飯かぁと思った。
智がなにやら食堂から二階の自宅に繋がる階段を忙しそうに駆け上がっていた。テーブルにはもう食事の準備が全て揃えられていたので、智のお父さんがなにやら二階に向かって一言叫んだあと「かまわねぇから食っちまおう」と智を待たずに始めた。
智はエプロンをしたまままた階段から走って降りてきたかと思うと、いきなり私の目の前に信じられないほど可愛らしい封筒を差し出した。
「え?なに?」
「茶智ちゃん、これ」
「手紙?え、どうして?」
「あの、昨日言ったこと本当に余計なことじゃないから、もっと茶智ちゃんの字見たりしたいから手紙書いたりしたら返事くれるかなぁと思って」
臼井くんが「夕べ書いたの?」とのほほんとした笑顔で言った。おじさんがラブレターか!とひやかすように言った。
「ラブレターじゃないよ」
「なんだと、おめえさっちゃんにラブなことに違いはねえだろ」
「ラブって?」
「茶智ちゃんのこと好きってことだよ。智、好きでしょう?」
きょとんとした智が、少ししてからようやく合点がいったかのような顔つきになった。
「あぁ…あー、あぁ、そっか、そうだね。スイちゃん、じゃあ茶智ちゃんだめだよ」
臼井くんがくまのような笑顔を作った。
「うふふ、俺最初っからそんなの知ってたよお~」
「俺茶智ちゃんのこと好きだったんだなぁ…」
ごはんに箸をつけた智が独り言のように呟いているのを見て私はほっとするよりもっと疲れてしまった。




その日の夜、片付けを終えた智が私の部屋にやってきた。仕事を終えてから部屋にくること自体珍しかったので、どうしたのと尋ねた。
「茶智ちゃん、うち来る?」
「今から?何かあるの?」
「なにもないよ」
「手紙書くからだめだよ」
「うちで書けば?」
「手紙の意味ないじゃない」
「違うよ。茶智ちゃん、うちに住めば?」
「…はい?」
開いていた便箋を閉じてベッドに腰掛ける智に向き合った。
「どういう意味?」
「俺、茶智ちゃんのことすきだから、一緒に暮らさないかなぁと思って」
「…私まだ大学生だし、無理じゃないかな」
「わかった」
珍しくしゅんとしたそぶりの智に、なんだか力が抜けていくのがわかった。昨日までその恋心すら自覚できていなかった人のせりふとは思えない台詞だった。たまに智のことを怒ってしまいたくなるときが昔からあった。でも結局怒ったことはなかった。今回もまた怒るようなタイミングがみつからないまま進んでいくんだろうなと思った。
結局一週間後には智がうちで暮らすようになったのだった。








おわり
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幼馴染との恋愛について2
- 2011/09/05(Mon) 20:55 -
智は顔立ちはそこそこ整っていたが女の子からモテていたという話は聞かない。中学までの彼の学生姿しか知らないが、いつもぼーっとしているような印象しかない。たまに先生にあてられても良く答えられなかったりもしたのだろうと思う。
智が一番仲良くしている友達というのが、私を置いて他に臼井くんぐらいしか思いつかないのもその要因の一つかもしれなかった。智は自宅に友達を招いたこともなかった。同じように臼井くんも智が一番の仲良しらしかった。しかし智が私の家になんの遠慮もなく入ってくるのと違って、臼井くんがうちに遊びにきたりするようなことは一度もなかった。幼馴染かと聞かれれば智も臼井くんも同じく幼馴染に違いはなかったが、親近感で言えばそれは段違いだった。


高校の修学旅行に行ったとき、京都の土産屋で偶然臼井くんと鉢合わせたことがあった。彼は班のメンバーと一緒にいたらしいが、店内では1人で好き勝手に見ているようだった。いつもと同じようにくまみたいな顔と体でにっこり笑って会釈してきたので、私は珍しく臼井くんに話しかけることにした。
「お土産?」
「あ、うん。智に」
真っ黒でざっくばらんな髪型をした臼井くんがおっとりとした口調で答えた。私は臼井くんと同じものにならないために、彼がお土産を決めるまで付かず離れずの距離にいることになった。彼は食べ物を購入していたようなので、私は携帯ストラップを買うことにした。

智の修学旅行は私と少し違う時期にあった。彼の旅先は北海道のようだった。それは智本人から聞いたのではなく、彼のお父さんから聞いた話だった。智は私に学校での出来事をほとんど言わないが、特別言うようなことはないのだろうとなんとなくわかっていた。
「茶智ちゃん」
「智?どうしたの?」
「今修学旅行してるんだけど、お土産なにがいいかなと思って」
昼休み、学校にいるときに鳴った携帯からはいつものぶっきらぼうな声がした。
「気にしなくていいんだよ。お父さんには買った?」
「買ってない。いらないと思う。茶智ちゃんは?」
「なんでもいいから買ってってあげなよ」
「茶智ちゃんは?」
「じゃあね、北海道限定の食べ物とかでいいよ。お菓子とか、そういうの」
「わかった」
それだけ告げると電話は切れた。その後はまったく音沙汰がなく、次に連絡が来たのは彼が本州に戻ってきたときだった。お土産を渡すというので、彼の部屋で待つことにした。

智の部屋は本当に特徴のない部屋だった。必要最低限なものしか無い部屋は、智が自宅の職業にしか興味が無いことを告げているようだった。その部屋の壁に小さなコルクボードがぽつんと飾られていて、コルクボードにも一枚の紙切れしか留められていなかった。
目をとめるとそこに書かれていたのは私の携帯番号だった。そうしてその紙が、智に一番最初に番号を教えた際に書きなぐったままの紙であることに気づいた。二年の月日にその紙は色褪せていたので、別の紙に書き直してあげることにした。
「ただいま」
私が部屋にいることに全く関心がないかのような態度で智がいつもと変わらない態度で部屋に入ってきた。おかえりと告げると、大きな鞄からさっそく荷物を取り出して私の前に積み重ねていく。他に荷物はないのかというほど地域限定のお菓子の箱が並んだその光景に、どこまでが私の分なのかを尋ねた。
「全部茶智ちゃんの」
「これ全部?お父さんには買った?」
「買った。スイちゃんにも買った」
スイちゃんとは臼井くんのことだった。智は誰かを呼び捨てに出来ない子だった。
「ほんとにこれ全部もらっていいの?」
「だってなにがいいのかわかんなかったから」
じゃあ一緒に食べようねと言うと智はうんと言って頷いた。
「修学旅行楽しかった?」
「楽しくなかった」
「どうして。せっかく北海道だったのに」
「茶智ちゃんいないし、楽しくなかった」
智は思っていることを素直に口にする。しかしそこにはなんの裏もないので、私がいなければ楽しくないと思う気持ちがどういった意味なのか、智には全く理解できていなかった。そして私も無理に智に気づかせようとも思わなかった。智はいつだって私の半身だったので、この先も智がそういった存在であることを全く疑いもしなかった。



希望の女子大に受かってからも智の弁当は毎日持たせられた。智は当然のごとく進学はせずに店に入るようになった。臼井くんも家のうなぎ屋を継ぐ修行をしているようだった。智の家の食堂はたまに常連さんの注文を配達することもある。エンジンが止まりそうなスーパーカブで配達をするのが智の日課になった。私は花の女子大生活を満喫していた。

あるとき酔っ払って帰宅したことがある。コンパといえばコンパだが、私は今も昔も他の男にはさして興味がなかった。付き合いもあったので参加したのだった。私は酔っ払ったまま家に帰るのはなんとなく気が引けて、先に智の家に寄る事にした。食堂は夜もやっているのだが、私が店に入った頃はもう店じまいの時間だった。
「おじさん、もうだめ?」
「お、さっちゃんか?いいよいいよ寄ってけ。智!さっちゃんだぞ!」
智のお父さんが厨房にいる智に声を掛けると、智がそこから顔を出した。水を持ってきてくれるのと同時に、外ののれんを店の中に片付けた。私が酔っていても特に気にしたそぶりは無かった。
少しすると臼井くんが店の入り口から入ってきて、酔っている私に驚いたような顔で向かいの席に座った。どうやら臼井くんはいつも店じまいしたあとに、ここで夕飯をご馳走になっているらしかった。毎日うなぎじゃ飽きるのかしらと思った。
一緒にごちそうになったあと、隣だというのに臼井くんが送ってくれると言い出した。智は店の片付けがあるので、いいよいいよと断りながらも結局臼井くんはうちの玄関まで見届けてくれた。ありがとうと言うと、くまみたいな臼井くんはなぜか困ったような顔をして、言いづらそうに口を開いた。
「茶智ちゃん、あの…」
そこで唐突にいけないと思った。全部に合点がいった。なぜ自分が臼井くんと智のように仲良くならなかったのか、なぜ彼は私と同じ高校に来たのか、なぜ私は智と臼井くんを全く区別して隔たりを作っていたのか。
聞いてはいけないと思ったが、臼井くんの言葉の方が早かった。好きなんだと言われた私はその気持ちをもうはるか昔から知っていて知らないふりをしてきたのだと自覚した。私が答えるよりも早く、臼井くんはごめんねとお人よしな顔のまま頭を下げて二軒隣の自分の家へと戻っていった。私は驚くよりも、あの言葉を告げられる隙を作ってしまった自分を後悔した。




つづく
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幼馴染との恋愛について1
- 2011/09/05(Mon) 20:54 -
生まれたときから自分の家の隣には食堂があって、その食堂には自分と同じ年の男の子がいた。食堂は彼のお父さんが始めた店で、彼は毎日そこの手伝いをしている。
その食堂には母親がいないのだが、私の物心ついたときからいないので原因はわからないし特に聞こうとも思わない。最初からその状態なので私は彼のうちには母親という存在のものがいないのだと認識していた。

生まれた月で言えば私の方が彼よりも若干年上なのだが、それを加味しても彼は少し幼い気がしないでもない。小学校や中学校は一緒に通ったが、高校からは離れたので彼がどんな高校生活を送ったのかは知らない。しかし想像するに容易い。そういったタイプの人間だった。



彼の名前は智行と言った。智は中学に上がるのと同時に食堂の厨房にも入るようになっていた。智は漢字や数式を覚えるよりも食堂のメニューを覚える方が早かった。
中学に通っている頃は毎朝智を迎えに行った。すると彼はすでに支度を終えていて、玄関先で私を待っているのだった。おはようと声をかけると無表情でおはようとオウム返しのように返事をし、また無表情で私にお弁当を差し出す。それは智が毎日私のために作る弁当だった。智は私に食べて欲しいからと毎日弁当を作るようになった。それがどんな感情を伴っているのかは智自身把握しきれていないようだったし、私も聞かなかったのでその弁当はそれから現在に至るまで続いている。弁当は智が食堂のメニューを覚えるたび豪華になっていった。


私の隣に智の家の食堂兼自宅が建っており、そのまた隣にこれまた同じ年の男の子が住んでいる。その子の家はうなぎ屋さんだった。うなぎ屋さんちの息子は臼井くんと言う苗字だったのでそのまま臼井くんと呼んでいる。
呼び名でわかるように、私は智とは兄弟のように身近で育ってきたのに対し、臼井くんとはそこまで深い付き合いがあるわけでもない。但し智は同じ年の男の子同士、臼井くんとは私とはまた別に仲良く過ごしているらしかった。臼井くんはなんでものんびりこなすタイプだった。智ものんびりしているタイプだが、臼井くんはそれに付け加えておおらかで人の好意を三倍くらい大きく受け取るお人よしでもあった。智は物事を良くも悪くも真正面からしか受け止められないタイプだった。


智と高校が離れたのは当然のことだった。智は地元のあまり賢くない高校へ行かざるを得なかった。私は地元からあまり離れていないまぁまぁの高校へ入ることが出来た。臼井くんも同じ高校だった。てっきり智と同じ高校へ行くのかと思っていたら智よりも勉強が出来たらしかった。
高校離れてさみしいねと智に言ってみた。智はそうかな?というような顔したあと気を使ったのか「うん」とお世辞のような返事をした。智は特に何も思わなかったらしい。そんなもんかなと思った。
高校に合格したときに親に携帯電話を買ってもらった。智に番号を教えたが智は持っていないので、その辺のどうでも良さそうな紙に書いていた。隣なので電話で話すようなことは何もないまま高校の入学式を迎えた朝に、初めて智の自宅から携帯に着信があった。
「茶智ちゃん、お弁当いる?」
いつものぶっきらぼうな声だった。
「入学式だから欲しいのかわかんないな」
「作ったからあとで寄って。食べなかったら残していいよ」
それから毎日、高校が離れても相変わらず彼の手作り弁当は休むことがなかった。

臼井くんとは同じ高校に通っていたが同じクラスになることはなかった。たまに廊下ですれ違っても彼はにっこり笑って会釈してくるぐらいだった。臼井くんは身長も高いのでくまみたいだなと思っていた。ちなみに智は私とそんなに身長は変わらない。

智は高校に入っても部活をやらずにまっすぐ帰宅した。食堂の手伝いをしていたのでいつもどこにも寄らずにいるらしかった。遊んだりしたくならないのかと聞いたことがあったが、智は特別不満を持ったこともないと言う。それはそれですごいなと思った。私は部活こそしなかったが高校で出来た友達と遊びに行ったり極々普通の高校生活を過ごしていた。

高校に入って別々の時間を過ごすことが多くなるのと比例して、智からの電話が増えていった。智も自分で携帯電話を購入したらしく、智からの着信はもっぱら帰宅に近い時間帯に集中した。内容はなぜかほとんどが帰宅の報告だった。今から帰るということだけを私に告げるのだ。私は気をつけてねと返事をするだけだった。
雨が降った日も必ず電話を寄こした。
「茶智ちゃん、傘持ってる?」
「折りたたみ傘持ってるから大丈夫だよ」
「わかった」
一度傘を持っていないことがあったのだが、智にそれを告げても「わかった」という同じ返事だったことがある。傘を持っているのかと確認するわりには、傘を持っていなくても特別届けてくれるとかそういったことはないのだ。その日は濡れながら帰った。

帰宅して濡れた髪をタオルで拭いていると、智が私の部屋にやってきた。
「おかえり」
「ただいま。どうしたの?」
「茶智ちゃん、濡れた?」
「うん。傘持っていくの忘れちゃったからね」
無表情で頷いた智は、左手に持っていたタオルを私に差し出した。
「なに?」
「茶智ちゃん濡れてると思って」
「……ありがと。これで体拭くね」
「うん。俺手伝いあるから戻るね」
タオルは私の家にもあるのだが、とツッコんだら負けなのだろうかと思いながら階段を下がっていく智の背中を見送った。いつの間にか私よりもがっしりとした体つきになっていた。あくまで私と比べて、という程度だが。




つづく
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